都心からのアクセスが便利な川崎市高津区にある帝京大学医学部附属溝口病院です。医師・看護師を募集しています。

薬剤部について

くすりの話(一般の方用)

●〇● アルツハイマー型認知症について ●〇●

 

 

急激な高齢化が進んでいますが、そこで問題となるのが“認知症”です。認知症にはアルツハイマー型、レビー小体型、血管性など様々な種類があります。中でも50%はアルツハイマー型で、患者は100万人いると言われています。どんな年齢にも起こりうる病気ですが、高齢になるほど多く、特に65才以上では10人に1人発症すると言われるほど身近な病気になっています。

 

◆◇◆ あたまの中でおこっていること ◆◇◆

遺伝や老化、環境(特にストレス)などの要因でアミロイドβタンパクという異常物質が脳内にたまり、老人斑というシミが形成されます。その毒性によって神経細胞が死んでしまうため、神経細胞から出されるアセチルコリンという神経伝達物質が減り、記憶や思考が弱くなっていくと考えられています。

 

◆◇◆ どんな症状??? ◆◇◆

中心的症状である物忘れとご本人が周りの方とのお付き合いする上で問題となってくる症状に分けられます。初発症状として中心的症状である物忘れが多いため、加齢による物忘れと間違えられます。加齢による物忘れとの違いは、病気の認識がなく、徐々に進行し、だんだん生活に支障をきたすようになります。ご本人は物忘れについて指摘されると言い訳をしたり、つじつまを合わせようとしたりすることがしばしば見られます。また問題となってくる症状には不眠、物を盗られたという妄想、夜間の徘徊、うつなどが見られるため、介護される方の負担となります。

 

◆◇◆ 薬は・・・ ◆◇◆

残念ながら、現時点では治療薬はありません。しかし、病気の進行を遅くする薬や問題となってくる症状を改善する薬などの様々な薬が使われています。

 

☆★ 病気の進行を遅くする薬 ★☆

(のみ薬)

アリセプト     

レミニール    

メマリー      

(貼り薬)

イクセロノン

リバスタッチ

 

☆★ 問題となってくる症状を改善する薬 ★☆

睡眠導入剤       (不眠)

少量の抗精神病薬 (幻覚、妄想)

抗うつ剤         (抑うつ)

 

◆◇◆ 介護される方へ ◆◇◆

物忘れがひどくなったり、人柄が変わったりといった症状が見られた場合には、神経内科、脳神経外科、精神科を受診することをおすすめします。認知症と診断された際には、ご本人の話に合わせた対応をし、ご本人が穏やかな気持ちで生活することが大切になります。ご家族や介護される方の適切な対応や薬の治療で不眠、妄想、徘徊などの問題となってくる症状は改善します。症状や介護のことで相談したいときには専門の医療機関や地域の包括支援センターにご相談ください。

 

 

(文責:緒方 有記)