都心からのアクセスが便利な川崎市高津区にある帝京大学医学部附属溝口病院です。医師・看護師を募集しています。
大学病院として、皮膚疾患全般にわたり、最新のエビデンスに基づいた診断、治療を推進しています。患者さんの日常生活の質(QOL)、日常生活動作(ADL)を重視し、外来治療、日帰り手術、必要のある場合には入院治療を行っています。
地域医療連携にも力を入れており、診断がつき治療方針が確定したり、症状が落ち着いたら、基本的には逆紹介させて頂きます。
当科は血管腫に対するレーザー治療機器であるVビームII (Vbeam perfecta)を有しており、血管腫(単純性血管腫、イチゴ状血管腫)や赤ら顔に対するレーザー加療を積極的に行っています。また、青アザに対するレーザー治療機器も保有しており、赤アザだけでなく青アザにも対応可能です。
また、乾癬(かんせん)、アトピー性皮膚炎の治療も重点的に行っており、生物学的製剤による加療にも力を入れています。
【乾癬、生物学的製剤】
軽症例では主に外用療法による加療が行われていますが、当科では皮疹が体表面積の10%を超えるような重症例に対しては、抗体医薬(生物学的製剤)を用いた最新の治療法も行っています。生物学的製剤にはレミケード、ヒュミラ、ステラーラ、コセンティクス、トルツ、ルミセフ、トレムフィア、スキリージ、イルミア、シムジアといった多くの種類があります。当院は、日本皮膚科学会にて生物学的製剤承認施設として承認されており、多くの薬剤の中から最適なものを選択し治療を行うことができます。
【VビームIIレーザー治療、ヘマンジオルシロップ内服、血管腫】
2018年7月に、皮膚血管病変治療用レーザー装置であるVビームII (VbeamII、Vbeam perfecta)を導入いたしました。Vビームは日本国内で広く使用されておりますが、VビームIIはその後継機種で、サブパルスが8と増加し、副作用が軽減されるなどの改良が行われた最新機種となります。いわゆる“赤アザ”には多くの種類があります。頻度の比較的多いものとしては、生下時より認められることの多い単純性血管腫や、生後一カ月ぐらいまでの間に出現しその後増大する乳児血管腫(いちご状血管腫)が挙げられます。こうした病変には、早期のVビームIIによるレーザー加療が適応となります。単純性血管腫、イチゴ状血管腫、毛細血管拡張症と診断された場合には、保険適応となります。また、いわゆる“赤ら顔”の原因として、表皮の下の真皮と呼ばれる部位の浅いところの毛細血管が拡張した状態となっている場合もあり、レーザーによる治療対象となる場合もあります。患者さんの希望があれば、疼痛を緩和するために、外用局所麻酔剤を使用しています。
また、乳児血管腫では、2016年9月からヘマンジオルシロップによる治療が保険適応にて可能となりました。乳児血管腫は、生後数ヶ月の間に急速に増大し、1歳頃から縮小に転じます。しかし、半数以上の症例で最終的に瘢痕や皮膚のたるみ、隆起、毛細血管拡張などの後遺症が残ることが知られており、特に隆起が強く、盛り上がりが急峻だと後遺症が残る可能性が高くなるとされています。レーザー治療は、乳児血管腫の赤みを改善させる効果に優れているのですが、隆起を抑制する効果は弱いことが報告されています。ヘマンジオルシロップは隆起抑制の効果が高い薬剤で、欧米では治療の必要な乳児血管腫の第1選択薬となっている薬剤です。顔面などの露出部にある場合や病変の大きな場合など、瘢痕などの後遺症が残ってしまうことが大きな問題となると考えられる場合にはヘマンジオルシロップ内服による治療を行っています。治療開始が遅くなってしまうと、治療時期を逸してしまう可能性があるため、出来る限り早くの受診をお勧めします。
【皮膚腫瘍】
皮膚には様々な”できもの”が生じます。良性の場合もありますが、悪性のものであることもあります。必要があれば、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を用いた検査や皮膚組織を一部採取して行う病理組織検査を行うこともあります。診断に応じて、手術や液体窒素による治療を選択します。
【帯状疱疹】
神経痛が残る場合があります。発症早期の抗ウイルス剤投与により、神経痛のリスクが低下することが報告されており、抗ウイルス剤による加療を行います。重症の場合には、短期間入院して点滴で治療することもあります。
【細菌感染症】
蜂窩織炎や丹毒など、多くの種類があります。重症の場合には、短期間入院して抗生剤の点滴で治療する場合もあります。
【光線療法(ナローバンドUVB、エキシマライト)】
乾癬、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、類乾癬、菌状息肉症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑に保険適応があります。
光線療法は、主にステロイド外用などの治療で効果不十分な場合に行われます。
ナローバンドUVBは、311±2ナノメートルという非常に狭い帯域の波長をもつUVB紫外線光源で、この”光”を皮膚病変に照射することで皮膚病変を改善します。当科では全身照射型のナローバンドUVB治療器を保有しており、全身に皮膚病変のある症状の重い方にも対応可能となっています。
エキシマライトは308±2ナノメートルというこれも非常に狭い帯域の波長をもつUVB紫外線光源です。小範囲のみの照射に適しており、病変部位に集中して照射ができます。当科では高輝度ターゲット型エキシマライトであるVTRACを保有しています。VTRACは2019年現在、国内で取り扱われている保険適応である紫外線治療器において最も高い輝度を有している機器です。高輝度の光は、高密度で深部に到達することが可能であり、従来の方法では治療効果の乏しかった皮膚のやや深いところにまである病変に対しても有効性が期待できるとされています。
【アトピー性皮膚炎】
多くの場合、保湿剤外用、ステロイド外用、免疫抑制剤外用といった外用治療で皮膚症状のコントロールが可能ですが、症状が重く、外用治療では症状のコントロールがつかない場合には、必要に応じてネオーラル内服、オルミエント内服、光線療法、抗体医薬(生物学的製剤、デュピクセント、ミチーガ)等による治療を行っています。
【蕁麻疹】
明らかな原因があり誘発されている場合は原因の除去、回避などを行うことになります。しかし、直接的な原因や誘因なく自発的に発疹が出てくる場合には、抗アレルギー剤を始めとする内服治療が継続的に必要となってきます。多くの場合は内服治療で症状が小康状態にコントロールされますが、内服薬を増量するなどしても症状が続いてしまう場合には、必要に応じて、抗体医薬(生物学的製剤、ゾレア)による治療を行っています。
【水疱症(水疱性類天疱瘡など)】
自分の皮膚に対する自己抗体が出現し、皮膚に水ぶくれが出てきてしまう疾患です。
プレドニン内服などの治療にても症状の改善が認められない場合、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)などの治療を行っています。
【難治性皮膚潰瘍(褥瘡など)】
褥瘡や糖尿病性皮膚潰瘍などの皮膚潰瘍では、時に通常の外用療法などだけではなかなか改善が認められない場合もあります。そうした場合には、陰圧閉鎖療法などの治療を行っています。
【円形脱毛症】
円形脱毛症の治療は、2022年にJAK阻害薬の内服薬(オルミエント)が円形脱毛症に対して承認されたため、大きく変化いたしました。長年、頭部全体が脱毛していて、各種治療を行うもなかなか発毛がなかった患者さんでも、JAK阻害薬内服により頭部全体で発毛し、かつらやウィッグが必要でなくなる方も稀ではありません。患者さんによってはJAK阻害薬を内服しても効果がない場合もありますが、この20年程度、ほとんど変化のなかった円形脱毛症の治療において大きな進歩となりました。尚、オルミエントは治療費が高額で、また、免疫を抑制するため、感染症などの副作用のリスクもあるため、円形脱毛症の症状の重い方(脱毛している面積が頭部全体の半分以上)が対象となります。その他の治療法として、SADBEを用いた局所免疫療法や発症初期にはステロイドパルス療法(入院が必要となります)、光線療法など、様々な治療も当科では行っており、患者さんの症状にあわせて選択しています。
【QスイッチYAGレーザー、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症】
当科ではQスイッチYAGレーザーであるJMEC社のMedLite C6を使用し、いわゆる青アザや茶アザの治療を行っています。太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症では保険適応となり、乳幼児医療証をお持ちの場合は、その対象となります。
太田母斑は、生下時~1歳まで、もしくは思春期に出現することの多い顔面の左側もしくは右側の青紫色~灰青色のアザで、そこに小さな薄い褐色斑が混在しています。レーザー治療を繰り返し行うことで、ほとんどの場合徐々に色調が軽快していき、ほとんど目立たなくなっていきます。
蒙古斑で一般的に知られているのは臀部の蒙古斑で、赤ちゃんのおしりにある青アザです。背部に出現することも多いです。ほとんどの場合、これは数年で自然に消えるため、治療の必要はありません(大きく色の濃いものを中心に、稀には残るものがあり、その場合には治療対象となります。)。通常の場所以外(例えば四肢や胸など)に出現した蒙古斑が異所性蒙古斑です。異所性蒙古斑でも色の薄いものは自然に消えることが多いのですが、色調が濃いものや大きなものは自然消退しないことも多く、消退させるために治療が必要となる場合があります。10歳ぐらいまで自然消退しないか待って、消えなかった場合にレーザー治療を開始する場合もありますが、異所性蒙古斑の場合、年齢が上がり皮膚が厚くなるとレーザー光線が皮膚深部に届かなくなるため、レーザー治療の効果が出にくくなることが知られています。そのため、色調の強さや大きさ、場所などから自然消退しないと考えられる病変については、早期にレーザー治療を開始する場合もあります。治療が必要かどうか、治療するかどうかも含めて診察、相談させていただきますので、青いアザがあって気になる場合は、赤ちゃんから大人の方まで、お気軽にご相談ください。
【脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎などの湿疹群、真菌症】
悪化因子の究明や体にやさしい治療を心がけています。真菌症に関しては、必要があれば患者さまが一緒に菌の検査が見られるように大画面のモニターで顕微鏡を一緒に観察できるようにしてあり、納得して治療を受けられるように配慮しています。
【爪疾患、陥入爪や巻爪】
各種ワイヤーやガター法、フェノール法など、症例に合わせた方法を選択して治療しています。
【美容皮膚科】
シミ、シワをはじめとする美肌治療をしています。ボトックスによる治療も行っています。自費診療となります。
【フォトフェイシャル (IPL) Stellar M22】
当科では、本年(2022年)フォトフェイシャルの機器をStellar M22へ更新いたしました。Stellar M22はフォトフェイシャルの機器として有名なルミナス社のM22の後継機種で最新モデルとなります。M22に比較して、ハンドピースデザインとライトガイドが改良され、治療している部位の視認性が向上し、より正確に照射しやすくなりました。また、AOPT機能の追加により、パルス毎の出力を個別に設定できるようにもなっています。
<フォトフェイシャルの治療内容>
・フォトフェイシャル(Intense Pulsed Light: IPL)は、しみやくすみ、ニキビ肌、赤ら顔などの肌質を改善させることを目的とした施術(光治療)です。
・可視光~近赤外線の光を皮膚にあてます。この光は皮膚のメラニンや血管内のヘモグロビン、水分などに作用し、色素異常(しみなど)や毛細血管拡張の改善、コラーゲンの新生などの効果を生じさせるとされています。これにより紫外線によって生じた皮膚の老化による様々な症状を改善することができるとされています。
・複数回の施術を継続することにより、一層の肌質改善が期待できます。
・個人差や部位によっては明らかな改善が見られないことがあります。
・施術はメイクを落とした状態で行います。施術後の状態によりますが、通常はメイクをしてお帰り頂けますので、メイク道具をご持参いただく事をお勧めします。
・施術当日の入浴はシャワーのみとなります。その他、発汗するような行為も避けて下さい。発赤等が数日続く場合、その間も避けて下さい。
<フォトフェイシャル(IPL治療)の主なリスク>
・個人差はありますが、部位や症例によっては痛みや熱感を伴う場合があります。
・個人差はありますが、部位や症例によっては赤みが生じることもありますが数時間から数日で消失いたします。
・場合によりクリーム又は軟膏を処方しますので、医師の指示に従って下さい。
・現在治療されている疾患の内容によっては、糖尿病、光線過敏症など、施術前に十分な検討を必要とする場合がありますので、現在の治療状況を必ず伝えてください。また施術前に必ずご相談下さい。
・施術の経過により、発赤・水疱・痂皮が出現した場合は、すぐに当科へご連絡ください。
<副作用>
・痛み、皮膚の損傷、色素沈着、色素脱失、傷跡、過度の浮腫、水疱、痂皮、紅斑・紫斑など
<費用>
・自費診療となり、健康保険は使用できません。
・費用 顔1回 15750円(税込)+他に初診料、再診料などがかかります。
・通常は1ヶ月に1回の照射を5回程度繰り返します。5回の照射が終わった後も、効果の維持などを目的に照射を継続していくこともあります。また、5回で終了した後も、しばらく時間を空けて、再度、照射を再開する場合もあります。
【炭酸ガスレーザー】
当科では炭酸ガスレーザーとしてシネロンキャンデラ社のCO2REを使用しております。 スキャナー機能付きの炭酸ガスレーザーで、ホクロなどの除去の他、フラクショナルモードでの使用も可能です。皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の蒸散に使用する美容レーザー装置として、国内で初めて医療機器製造販売承認を取得した機器で、自費診療となります。
これ以外の治療としては、通常の診療時間内に液体窒素療法、針なし注射器マーダジェット、サージトロンを用いた治療を行っています。
特 色 | |
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皮膚科 | 乾癬、帯状疱疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、血管腫(単純性血管腫、イチゴ状血管腫)、異所性蒙古斑、太田母斑、毛細血管拡張症、酒さ、皮膚悪性リンパ腫、皮膚腫瘍、悪性黒色腫、膠原病、血管炎、褥瘡、熱傷、日光皮膚炎、薬疹、自己免疫性水疱症(尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡)、円形脱毛症、にきび、陥入爪、まきづめ、細菌性疾患(蜂窩織炎、おでき、丹毒、慢性膿皮症など)、ウイルス性疾患(単純疱疹(ヘルペス)、帯状疱疹、いぼなど)、真菌症(白癬、みずむし、カンジダ症など)、梅毒、薬疹など |
その他 | ケガや病気による皮膚の炎症や裂傷など |